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肆 秘されし記憶に黄金の鍵 + 13 +

last update Dernière mise à jour: 2025-05-17 20:20:13

「見つけた!」

 夜澄は竜神が眠る湖の前で、夕陽によって橙色に染め上げられていた風に揺れる水面を眺めていた。周囲に植えられている菊桜の淡紅色の蕾が、いまにも零れ落ちそうなおおきさに膨らんでいる。昨日の夜にはわからなかったが、この湖の周辺にも、朱華の室の窓からよく見える十重二十重の菊桜が植えられているようだ。

 湯帷子のままだった朱華は雨鷺に素早く着替えさせられ、いまは動きやすい薄萌黄色の湯巻きに、やさしい色合いの撫子色の袿を合わせている。着替えが途中だと叫ぶ雨鷺の制止を振り切って室を飛び出して行ったため、沓は履いていない。

 素足のまま湖まで駆けてきた朱華に、夜澄は呆れた顔で振り返る。

「……別に俺は逃げやしないぞ?」

「いいの。あたしが早く夜澄に逢いたかっただけだから」

 ぜいぜいと息を切らしながら、朱華は夜澄の隣に立って、波打つ湖面に視線を注ぐ。

 ――この湖の底に、竜神さまの本体が眠っている。

「お前だけで、竜頭を呼び寄せるのは無理だ。
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